皆さん、こんにちは!簿記の世界へようこそ! めたん先生です。
今回は、貸倒引当金について一緒に学んでいきましょう。
貸倒引当金とは、将来発生するかもしれない貸し倒れに備えて、あらかじめ費用を計上しておく仕組みのことです。
この講義では、以下の4つの項目について説明します。
- 貸倒引当金の設定を理解するための前提知識:貸倒引当金とは何か、なぜ必要なのかを学びます。
- 貸倒引当金の具体的な処理1:貸倒引当金を設定するための仕訳と、貸借対照表・損益計算書への影響について学びます。
- 貸倒時の処理:実際に貸し倒れが発生した場合の仕訳について学びます。
- 貸倒引当金の具体的な処理2(差額補充法):前期に設定した貸倒引当金が残っている場合の処理方法について学びます。
これらの知識を身につけることで、貸倒引当金の仕組みを理解し、適切な会計処理ができるようになるでしょう。さあ、一緒に簿記の旅を続けましょう!
貸倒引当金とは
貸倒引当金って、何のことなのだ? 難しい言葉で、よく分からないのだ…。
貸倒引当金とは、将来、売掛金や受取手形などが回収できなくなるかもしれないリスクに備えて、あらかじめ費用を計上しておく仕組みのことです。例えば、お店で例えると、お客さんがツケ(掛け)で商品を買ってくれても、後でお金をもらえないかもしれないリスクがありますよね。そのリスクに備えて、あらかじめ少しだけお金を貯めておくようなイメージです。
なるほどね。貸倒引当金は、将来の貸し倒れに備えるための貯金みたいなものなんだ。でも、なんでそんなことをする必要があるのかな? 実際に貸し倒れが発生した時に処理すればいいんじゃない?
それは、費用収益対応の原則があるからです。収益と費用は、対応する期間に計上する必要があります。例えば、商品を販売した時に売上を計上するなら、その売上が回収できないリスク(貸倒れ)も、同じ期間に費用として計上する必要があるんです。
ふむふむ、なるほどなのだ。貸倒引当金は、将来のリスクに備えるための貯金で、費用収益対応の原則を守るために必要なのだ!
貸倒見積高
貸倒引当金として計上する金額は、貸倒見積高といいます。貸倒見積高は、期末の売上債権残高に実績率を掛けて計算します。
- 実績率:過去の貸倒れの経験から、どれくらいの割合で売掛金などが回収できなくなるかを表す数値です。
例えば、
期末の売掛金残高が10,000円で、実績率が2%の場合、
- 貸倒見積高は、10,000円 × 2% = 200円
となります。
貸倒引当金の具体的な処理
貸倒引当金って、具体的にはどんな仕訳をするのかな?
貸倒引当金を設定する仕訳は、以下のようになります。
(借) 貸倒引当金繰入 XXX (貸) 貸倒引当金 XXX
- 貸倒引当金繰入:貸倒引当金を設定する際に費用として計上する勘定科目です。
- 貸倒引当金:資産の控除項目として計上する勘定科目です。
仕訳例
売掛金の期末残高10,000円に対して、実績率2%により貸倒引当金を設定する。
(借) 貸倒引当金繰入 200 (貸) 貸倒引当金 200
貸借対照表への影響
貸借対照表では、
- 売掛金:期末残高を表示します。
- 貸倒引当金:売掛金の下に、控除項目としてマイナスで表示します。
- 回収可能見込額:売掛金と貸倒引当金の差額で表示します。
損益計算書への影響
- 貸倒引当金繰入:費用として計上します。
貸倒時の処理
実際に貸し倒れが発生した場合は、どうなるのだ? 貸倒引当金は、もう使われないのだ?
実際に貸し倒れが発生した場合は、貸倒引当金を取り崩して、費用を相殺します。例えば、1,000円の売掛金が貸し倒れになったとしましょう。前期に貸倒引当金を200円設定していた場合、貸倒損失は800円になります。
なるほどね。貸倒引当金は、実際に貸し倒れが発生した時に、費用をカバーしてくれる保険みたいな役割を果たすんだね。
会計処理
貸倒時の処理は、以下の3パターンに分けて考えます。
- 当期販売分の貸倒れ
- 前期販売分の貸倒れ(貸倒額 ≦ 貸倒引当金)
- 前期販売分の貸倒れ(貸倒額 > 貸倒引当金)
当期販売分の貸倒れ
当期に販売した商品に対する売掛金などが貸し倒れになった場合は、貸倒損失勘定(費用)を使います。
仕訳例
当期販売分の売掛金100円が回収不能となった。
(借) 貸倒損失 100 (貸) 売掛金 100
前期販売分の貸倒れ(貸倒額 ≦ 貸倒引当金)
前期に販売した商品に対する売掛金などが貸し倒れになった場合、前期に設定した貸倒引当金を取り崩します。
仕訳例
前期販売分の売掛金160円の貸倒れが生じた。なお、前期に貸倒引当金を200円設定している。
(借) 貸倒引当金 160 (貸) 売掛金 160
前期販売分の貸倒れ(貸倒額 > 貸倒引当金)
前期に販売した商品に対する売掛金などが貸し倒れになった場合で、貸倒額が貸倒引当金の残高を超える場合は、貸倒損失勘定(費用)も使います。
仕訳例
前期販売分の売掛金250円の貸倒れが生じた。なお、前期に貸倒引当金を200円設定している。
(借) 貸倒引当金 200 (貸) 売掛金 250
(借) 貸倒損失 50
差額補充法
前期に設定した貸倒引当金が残っている場合は、どうなるのかな? また新たに貸倒引当金を設定するのかな?
前期に設定した貸倒引当金が残っている場合は、差額補充法という方法で処理します。これは、期末に必要な貸倒引当金の金額と前期から繰り越された貸倒引当金の残高の差額だけを、新たに貸倒引当金繰入として計上する方法です。
差額補充法? なんだか難しそうなのだ…。ボクには理解できるか不安なのだ…。
差額補充法は、名前は難しそうですが、考え方はシンプルです。例えば、前期に貸倒引当金を200円設定していて、そのうち100円しか使わなかったとしましょう。つまり、100円余っている状態ですね。この場合、
当期末に必要な貸倒引当金が300円だとすると、新たに計上するのは、
300円 – 100円 = 200円
となります。
会計処理
貸倒引当金の期末残高が決算整理前の残高よりも多い場合は、その差額を貸倒引当金繰入として費用計上します。
- 借方には、貸倒引当金繰入勘定(費用)を記入します。
- 貸方には、貸倒引当金勘定(資産の控除項目)を記入します。
仕訳例
- 前期の決算で貸倒引当金を200円計上し、このうち当期に160円取り崩した。
- 当期の決算において、売掛金の期末残高15,000円に対して実績率2%により貸倒引当金を設定する。
(借) 貸倒引当金繰入 260 (貸) 貸倒引当金 260
- 貸倒引当金繰入: 貸倒見積高 300 – 前期繰越分の貸倒引当金残高 40 = 260
補足:貸倒引当金の差額を補充する理由
貸倒引当金の決算整理前残高は、前期の見積誤りを意味します。具体的には、前期に計上した費用が過大であったことを意味しています。よって、前期の費用過大計上分を相殺するために、当期の決算は差額補充法により行うのです。
まとめ
今回は、貸倒引当金について学びました。
- 貸倒引当金とは、将来発生するかもしれない貸し倒れに備えて、あらかじめ費用を計上しておく仕組みのことです。
- 貸倒引当金は売上債権残高に実績率を掛けて算定される貸倒見積高を基に設定します。
- 貸倒引当金は、貸倒引当金繰入(費用)/ 貸倒引当金(資産の控除項目)の仕訳で設定します。
- 実際に貸し倒れが発生した場合は、貸倒引当金勘定を取り崩します。
- 前期に設定した貸倒引当金が残っている場合は、差額補充法により、必要な金額だけを新たに計上します。
貸倒引当金は、貸し倒れリスクに備えるための重要な仕組みです。
貸倒引当金、最初は難しく感じたけど、先生の説明でだいぶ理解できたよ! 特に、保険の例え話が分かりやすかったな。でも、先生、貸倒引当金って、例えるなら、傘みたいなものかな? 雨(貸し倒れ)が降るかもしれない時に備えて、持っておく(費用を計上しておく)ことで、いざという時に困らない(損失をカバーできる)みたいな。
確かに、貸倒引当金は傘みたいなのだ! ボクも、急な雨に備えて、折りたたみ傘を持ち歩いているのだ!
二人とも、素晴らしい例えですね! 事前に準備しておくことで、予期せぬ事態(貸し倒れ)にも対応できるんですね。… 例えば、貸倒引当金は、まるで非常食。お腹が空いた時にすぐに食べられるように、備蓄しておく(費用を計上しておく)ことで、いざという時に安心(損失をカバーできる)なんです。
めたん先生がめずらしくまともな例えをしている…これは雨が降るやつだ
傘を持ってきていてよかった!あーし、貸倒引当金の重要性を身をもって体感したよw
(辛辣すぎて草なのだw)
… えっと、そうですね、とにかく、貸倒引当金は、将来のリスクに備えるための大切な考え方ですね! それでは、今日はこの辺で終わりにしましょう。次回も一緒に簿記の冒険を続けましょう!
学んだ内容を要約してみましょう
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Twitterで投稿するには約90文字に要約する必要があり、重要論点のアウトプットを行うことでより記憶に残りやすくなります。
要約ついでにこのサイトも紹介してくれると嬉しいな!
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