皆さん、こんにちは!簿記の世界へようこそ! めたん先生です。
今回は、経過勘定について一緒に学んでいきましょう。
経過勘定とは、費用や収益の発生と、実際のお金の受け払いのタイミングがずれる取引のことです。例えば、家賃を前払いしたり、売掛金をまだ受け取っていない場合などが該当します。
この講義では、以下の6つの項目について説明します。
- 経過勘定を理解するための前提知識:経過勘定の概念と、決算整理の必要性について学びます。
- 前払費用:家賃などの費用を前払いした場合の決算整理仕訳について学びます。
- 前受収益:家賃などの収益を前受けした場合の決算整理仕訳について学びます。
- 未払費用:家賃などの費用を未払いとした場合の決算整理仕訳について学びます。
- 未収収益:家賃などの収益を未収とした場合の決算整理仕訳について学びます。
- 財務諸表:経過勘定を貸借対照表や損益計算書にどのように表示するのかを学びます。
これらの知識を身につけることで、経過勘定の処理方法を理解し、決算整理を適切に行えるようになるでしょう。さあ、一緒に簿記の旅を続けましょう!
経過勘定とは
経過勘定って、何のことなのだ? 時間が経過する間に何かが起こる勘定なのだ?
経過勘定とは、費用や収益の発生と、実際のお金の受け払いのタイミングがズレる取引のことです。例えば、毎月支払う家賃を、数か月分まとめて前払いしたり、商品を販売したけど代金はまだ受け取っていない、といったケースが該当します。
なるほどね。お金の動きと、費用や収益の計上タイミングがズレるってことか。でも、なんでそんなズレが生じるのかな?
それは、契約内容や取引の慣習など、様々な理由が考えられます。例えば、家賃を前払いすることで、大家さんから割引を受けられる場合もあるし、逆に、後払いすることで、支払いのタイミングを遅らせることができる場合もあります。
継続的な役務提供
- 役務とは、他人のために労務を提供することです。
- 継続的な役務提供とは、一定期間にわたって継続的に発生する役務の提供のことです。
- 継続的な役務提供に関する費用の例:支払家賃、支払地代、支払利息、給料、保険料
- 継続的な役務提供に関する収益の例:受取家賃、受取地代、受取利息
役務提供期間と現金収支のズレ
- 費用や収益は、発生した期間に対応して計上する必要があります。(発生主義)
- しかし、実際のお金の支払いや受取のタイミングは、契約内容などによって異なる場合があります。
- このように、役務提供期間と現金収支の期間にズレが生じることがあります。
- ズレには、前払いと後払いの2つのケースがあります。
例えば、
- 当期はX1年4月1日からX2年3月31日である。
- 建物の賃貸借期間はX1年7月1日から12ヶ月間であり、家賃は12ヶ月分を一括で支払う。
この場合、
- ケース1:X1年7月1日に前払いした場合
- 当期の支払期間:12ヶ月
- 当期の経過期間:9ヶ月
- ズレ:3ヶ月(翌期分)
- ケース2:X2年6月30日に後払いした場合
- 当期の支払期間:0ヶ月
- 当期の経過期間:9ヶ月
- ズレ:9ヶ月(当期分)
となります。
損益計算書に計上すべき額
継続的な役務提供から生じる費用や収益は、当期に発生した金額を損益計算書に計上します。
例えば、上記のケースで、月額家賃が100円の場合、
- 当期に支払った家賃は、
- ケース1:1,200円(12ヶ月分)
- ケース2:0円
- 損益計算書に計上する家賃は、
- 両ケースとも、900円(9ヶ月分)
となります。
前払費用の処理
経過勘定の決算整理では、実際に支払った金額を、当期に発生した金額に修正するんだよね。でも、具体的にはどんな仕訳をするのかな?
まずは、前払費用の決算整理仕訳から見ていきましょう。前払費用とは、将来の費用を、当期に前払いしている状態のことです。例えば、家賃や保険料などを前払いした場合が該当します。
前払いってことは、まだ費用じゃないのに、お金を払っているってことなのだ? 何か変な感じなのだ…。
そうなんです、ずんだもんさん。前払いしたお金は、まだ費用として計上することはできません。なぜなら、費用は、実際にサービスを受けた期間に対応して計上する必要があるからです(発生主義)。だから、決算整理仕訳で、前払いした金額を費用から資産に振り替える必要があるんです。
会計処理
決算整理仕訳
- 前払費用勘定(資産)を借方に記入します。
- 費用勘定(費用)を貸方に記入します。
仕訳例
- X1年度(X1年4月~X2年3月)の7月1日に建物の賃貸借契約を結んだ。
- 賃借料は月額100円であり、1,200円(12ヶ月分)をX1年7月1日に一括で支払う。
(借) 前払家賃 300 (貸) 支払家賃 300
- 支払家賃:決算整理前の残高は、1,200円(12ヶ月分)です。
- 前払家賃:翌期分の3ヶ月分なので、100円 × 3ヶ月 = 300円 を計上します。
- 支払家賃:当期分は9ヶ月分なので、1,200円 – 300円 = 900円 に修正します。
翌期の処理(再振替仕訳)
翌期の期首に、再振替仕訳を行います。これは、決算整理仕訳の逆仕訳をすることで、翌期分の費用を計上するための処理です。
仕訳例
(借) 支払家賃 300 (貸) 前払家賃 300
前受収益の処理
前払費用は理解できたけど、前受収益ってどんな取引なのかな?
前受収益とは、将来の収益を、当期に前受けしている状態のことです。例えば、家賃やサービス利用料などを前もって受け取った場合が該当します。
前受収益ってことは、まだ収益じゃないのにお金を受け取っているってことなのだ? 何かラッキーな感じがするのだ!
確かに、お金を前もって受け取れるのは嬉しいですが、簿記上は、収益は実際にサービスを提供した期間に対応して計上する必要があります(発生主義)。だから、決算整理仕訳で、前受けした金額を収益から負債に振り替える必要があるんです。
会計処理
決算整理仕訳
- 収益勘定(収益)を借方に記入します。
- 前受収益勘定(負債)を貸方に記入します。
仕訳例
- X1年度(X1年4月~X2年3月)の7月1日に建物の賃貸借契約を結んだ。
- 賃借料は月額100円であり、1,200円(12ヶ月分)をX1年7月1日に一括で受け取る。
(借) 受取家賃 300 (貸) 前受家賃 300
- 受取家賃:決算整理前の残高は、1,200円(12ヶ月分)です。
- 前受家賃:翌期分の3ヶ月分なので、100円 × 3ヶ月 = 300円 を計上します。
- 受取家賃:当期分は9ヶ月分なので、1,200円 – 300円 = 900円 に修正します。
翌期の処理(再振替仕訳)
翌期の期首に、再振替仕訳を行います。これは、決算整理仕訳の逆仕訳をすることで、翌期分の収益を計上するための処理です。
仕訳例
(借) 前受家賃 300 (貸) 受取家賃 300
未払費用の処理
今度は、後払いのケースだね。未払費用って、支払っていない費用ってことだよね?
その通りです、つむぎさん。未払費用とは、当期の費用として計上すべきだが、まだ支払っていない費用のことです。例えば、毎月末に支払う家賃を、決算日までに支払っていない場合などが該当します。
なるほどなのだ。未払費用は、まだ支払っていないけど、費用として計上しないといけないのだね。どうしてそうするのだ?
それは、費用収益対応の原則を守るためです。費用は、実際にサービスを受けた期間に対応して計上する必要があります(発生主義)。決算日までに支払いが終わっていなくても、当期にサービスを受けた分は、当期の費用として計上する必要があるんです。
会計処理
決算整理仕訳
- 費用勘定(費用)を借方に記入します。
- 未払費用勘定(負債)を貸方に記入します。
仕訳例
- X1年度(X1年4月~X2年3月)の7月1日に建物の賃貸借契約を結んだ。
- 賃借料は月額100円であり、1,200円(12ヶ月分)をX2年6月30日に一括で支払う。
(借) 支払家賃 900 (貸) 未払家賃 900
- 支払家賃:決算整理前の残高は、0円です。
- 未払家賃:当期分の9ヶ月分なので、100円 × 9ヶ月 = 900円 を計上します。
- 支払家賃:当期分は9ヶ月分なので、0円 + 900円 = 900円 に修正します。
翌期の処理(再振替仕訳と期中仕訳)
翌期の期首に、再振替仕訳を行います。
仕訳例
(借) 未払家賃 900 (貸) 支払家賃 900
さらに、期中に実際の支払いを行います。
仕訳例
(借) 支払家賃 1,200 (貸) 現金 1,200
未収収益の処理
未収収益って、まだ受け取ってない収益のことだよね。これも、発生主義の原則に従って、当期に計上する必要があるんだよね?
その通り。未収収益とは、当期の収益として計上すべきだが、まだ受け取っていない収益のことです。例えば、毎月末に受け取る家賃を、決算日までに受け取っていない場合などが該当します。
なるほどなのだ。未収収益は、まだ受け取っていないけど、収益として計上しないといけないのだね。でも、なんでそうするのだ?
それは、費用収益対応の原則を守るためです。収益は、実際にサービスを提供した期間に対応して計上する必要があります(発生主義)。決算日までに受け取りが済んでいなくても、当期にサービスを提供した分は、当期の収益として計上する必要があるんです。
会計処理
決算整理仕訳
- 未収収益勘定(資産)を借方に記入します。
- 収益勘定(収益)を貸方に記入します。
仕訳例
- X1年度(X1年4月~X2年3月)の7月1日に建物の賃貸借契約を結んだ。
- 賃借料は月額100円であり、1,200円(12ヶ月分)をX2年6月30日に一括で受け取る。
(借) 未収家賃 900 (貸) 受取家賃 900
- 受取家賃:決算整理前の残高は、0円です。
- 未収家賃:当期分の9ヶ月分なので、100円 × 9ヶ月 = 900円 を計上します。
- 受取家賃:当期分は9ヶ月分なので、0円 + 900円 = 900円 に修正します。
翌期の処理(再振替仕訳と期中仕訳)
翌期の期首に、再振替仕訳を行います。
仕訳例
(借) 受取家賃 900 (貸) 未収家賃 900
さらに、期中に実際の受取を行います。
仕訳例
(借) 現金 1,200 (貸) 受取家賃 1,200
財務諸表
勘定科目と表示科目
財務諸表における勘定科目の名称を表示科目といいます。
- 勘定科目は、決算整理後残高試算表で使われる名称です。
- 表示科目は、財務諸表で使われる名称です。
- 通常、表示科目は勘定科目をそのまま使いますが、経過勘定では、異なる名称を使う場合があります。
勘定科目(決算整理後残高試算表) | 表示科目(財務諸表) |
---|---|
前払家賃、前払地代など | 前払費用(資産) |
前受家賃、前受地代など | 前受収益(負債) |
未払家賃、未払地代など | 未払費用(負債) |
未収家賃、未収地代など | 未収収益(資産) |
これらの勘定科目は、貸借対照表に計上されます。
- 前払費用と未収収益は、資産として計上します。
- 前受収益と未払費用は、負債として計上します。
まとめ
今回は、経過勘定について学びました。
- 経過勘定とは、費用や収益の発生と、実際のお金の受け払いのタイミングがズレる取引のことです。
- 経過勘定には、前払費用、前受収益、未払費用、未収収益の4種類があります。
- 経過勘定の決算整理では、当期の収益・費用の額を、当期発生額(当期経過分)にするために、ズレの部分を修正します。
- 経過勘定は、翌期首に再振替仕訳を行います。
- 勘定科目と表示科目が異なる場合があります。
- 損益計算書計上額は、支払うタイミングや受け取るタイミングに関わらず、当期発生額となります。
経過勘定、最初は難しく感じたけど、先生の説明でだいぶ理解できたよ! 特に、家賃の前払い、後払いの例え話が分かりやすかったな。でも、先生、経過勘定って、例えるなら、タイムマシンに乗ってるみたいなものかな? 過去や未来にお金がワープしちゃうから、帳簿の辻褄を合わせるために、決算整理仕訳が必要になる、みたいな。
確かに、タイムマシンみたいなのだ! ボクも、タイムマシンに乗って、未来のずんだ餅を食べてみたいのだ!
二人とも、素晴らしい例えですね! 時間を行き来するお金の動きを、決算整理仕訳という魔法で帳簿上に正しく記録するんですね。… 例えば、経過勘定は、まるで宇宙旅行。地球の時間(期中取引)と宇宙の時間(決算整理)は流れ方が違うから、地球に戻ってきたら(決算整理後)、時間のズレを調整する必要があるんです。
めたん先生の頭の中って本当宇宙だよねw
(草)
… えっと、そうですね、とにかく、経過勘定は、時間軸を意識した会計処理が重要だということですね! それでは、今日はこの辺で終わりにしましょう。次回も一緒に簿記の冒険を続けましょう!
学んだ内容を要約してみましょう
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Twitterで投稿するには約90文字に要約する必要があり、重要論点のアウトプットを行うことでより記憶に残りやすくなります。
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