【簿記3級】#28 決算、準備OK？～帳簿を締めて、新しいスタート！～

1. 決算とは：決算の目的や、決算手続きの流れについて理解を深めます。
2. 帳簿の締め切り：帳簿を締め切り、新しい会計期間への準備をする決算振替仕訳について詳しく見ていきましょう。

これらの知識を身につけることで、決算手続きの全体像を把握し、スムーズに財務諸表を作成できるようになるでしょう。さあ、一緒に簿記の旅を続けましょう！

決算とは

決算でやること

決算では、主に以下の5つのステップを行います。

1. 決算整理前残高試算表の作成：期中に行った取引の記録に誤りがないかを確認するための試算表を作成します。
2. 決算整理：決算整理前残高試算表の金額を、財務諸表に載せるための適切な金額に修正します。
3. 決算整理後残高試算表の作成：決算整理後の金額に誤りがないかを確認するための試算表を作成します。
4. 帳簿の締め切り：当期の記録を締めくくり、新しい会計期間の準備をします。
5. 財務諸表の作成：決算整理後残高試算表をもとに、貸借対照表と損益計算書を作成します。

決算手続きの流れ

これらのステップは、以下の流れで行われます。

期首 → 取引の記録（仕訳帳・総勘定元帳） → 決算整理前残高試算表 → 決算整理 → 決算整理後残高試算表 → 帳簿の締め切り → 財務諸表の作成 → 翌期首

帳簿の締め切り（決算振替仕訳）

帳簿の締め切りの目的

• 翌期の帳簿記入をスムーズに開始できるように、当期と翌期の区切りをつける。

収益・費用の勘定と、資産・負債・資本の勘定の締め切り方の違い

決算振替仕訳では、勘定科目の種類によって処理方法が異なります。

• 収益・費用勘定
  • 翌期の期首残高はゼロから始まります。
  • 当期の収益と費用は、翌期には持ち越さないためです。
• 資産・負債・資本勘定
  • 翌期の期首残高は、当期末残高から始まります。
  • 当期末に残っていた資産や負債、資本は、翌期にも引き継がれるためです。

収益・費用の勘定の具体的な締め切り方

1. 決算振替仕訳により、収益と費用の各勘定残高を損益勘定に振り替えます。
2. 損益勘定の残高から当期純利益を算定します。
3. 決算振替仕訳により、損益勘定の残高（当期純利益）を繰越利益剰余金勘定（資本）に振り替えます。

例えば、

• 売上勘定の期末残高が1,700円
• 仕入勘定の期末残高が1,100円
• 給料勘定の期末残高が400円

だったとします。

この場合、決算振替仕訳は以下のようになります。

(借) 売上 1,700 　(貸) 損益 1,700 
(借) 損益 1,500 　(貸) 仕入 1,100 
　　　　　　　　　(貸) 給料 400
(借) 損益 200 　　(貸) 繰越利益剰余金 200 

• 1つ目の仕訳と2つ目の仕訳は、それぞれ収益の勘定と費用の勘定を損益勘定に振り替えています。
• 3つ目の仕訳は、損益勘定の残高（当期純利益）を繰越利益剰余金勘定に振り替えています。
• 損益勘定の残高は、以下の計算で求めることができます

収益合計 1,700 - 費用合計 1,500 = 当期純利益 200

この決算振替仕訳によって、収益・費用の勘定残高はゼロになり、繰越利益剰余金勘定は当期純利益分だけ増加します。

売上
借方			貸方
3/31	損益	1,700	3/31	期末残高	1,700

仕入
借方			貸方
3/31	期末残高	1,100	3/31	損益	1,100

給料
借方			貸方
3/31	期末残高	400	3/31	損益	400

損益
借方			貸方
3/31	仕入	1,100	3/31	売上	1,700
〃	給料	400
〃	繰越利益剰余金	200
		1,700			1,700

繰越利益剰余金
借方			貸方
3/31	次期繰越	700		期末残高	500
／			3/31	損益	200
			4/1	前期繰越	700

資産・負債・資本勘定の具体的な締め切り方

1. 各勘定の定位置の反対側に「次期繰越」として残高金額を記入します。
2. 翌期の期首には、同額を「前期繰越」として記入し、翌期の勘定記入を開始します。

例えば、

• 現金勘定の期末残高が1,300円
• 買掛金勘定の期末残高が300円
• 資本金勘定の期末残高が300円
• 繰越利益剰余金勘定の期末残高が500円、当期純利益200円

だったとします。

この場合、各勘定の締め切りは以下のようになります。

現金
借方			貸方
	期末残高	1,300	3/31	次期繰越	1,300
4/1	前期繰越	1,300

買掛金
借方			貸方
3/31	次期繰越	300		期末残高	300
			4/1	前期繰越	300

資本金
借方			貸方
3/31	次期繰越	300		期末残高	300
			4/1	前期繰越	300

繰越利益剰余金
借方			貸方
3/31	次期繰越	700		期末残高	500
／			3/31	損益	200
			4/1	前期繰越	700

• 資産・負債・資本勘定は、期末残高を翌期に繰り越すため、次期繰越と前期繰越を記入します。
• 繰越利益剰余金勘定は、当期純利益分が増加していることに注意しましょう。

まとめ

今回は、決算手続きの中で特に重要な、帳簿の締め切りについて学びました。

1. 決算とは、1年間の会社の活動を締めくくり、財務諸表を作成するための手続きです。
2. 決算手続きは、決算整理前残高試算表の作成、決算整理、決算整理後残高試算表の作成、帳簿の締め切り、財務諸表の作成という流れで行われます。
3. 帳簿の締め切りでは、決算振替仕訳を行い、当期と翌期の区切りをつけます。
4. 決算振替仕訳では、収益・費用勘定の残高をゼロにし、当期純利益を繰越利益剰余金に振り替えます。
5. 収益・費用勘定と資産・負債・資本勘定では、締め切り方法が異なります。
6. 収益・費用勘定は、損益勘定に振り替えることで締め切ります。
7. 資産・負債・資本勘定は、次期繰越と前期繰越を記入することで締め切ります。

帳簿の締め切りは、翌期の帳簿記入をスムーズに開始し、正確な財務諸表を作成するために欠かせない手続きです。それぞれの勘定科目の性質を理解し、適切な締め切り処理を行えるようになりましょう。

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