皆さん、こんにちは!簿記の世界の旅、今日も元気に続けていきましょう! めたん先生です。
前回の講義では、主要簿である仕訳帳と総勘定元帳について学びましたね。今回は、主要簿をサポートする補助簿について詳しく見ていきましょう。補助簿は、特定の勘定科目に関する情報をより詳細に記録するための帳簿です。
この講義では、以下のテーマについてお話します。
- 補助簿とは何か:補助簿の役割と、それが簿記の記録をどのように効率化するのかを理解します。
- 補助簿の種類と記入例:様々な補助簿の種類と、具体的な記入例を見ていきましょう。今回は、現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳、売上帳、仕入帳について説明します。
これらの知識を身につけることで、補助簿を活用して、より効率的かつ正確な帳簿付けができるようになるでしょう。さあ、一緒に簿記の旅を続けましょう!
補助簿とは
補助簿って、何のためにあるのだ? 主要簿だけで十分じゃないのだ?
主要簿だけでも、基本的な取引は記録できますが、取引が増えてくると、情報が煩雑になってしまい、必要な情報を探すのが大変になってしまうことがあります。そこで、補助簿を使うことで、特定の勘定科目に関する情報を詳細に記録し、必要な情報を素早く見つけられるようにするんです。
なるほどね。補助簿は、主要簿を補完する役割を果たすんだね。例えるなら、辞書(主要簿)とは別に、単語帳(補助簿)を作るみたいな感じかな。単語帳があれば、重要な単語(特定の勘定科目)を効率的に覚えられるよね。
補助簿の特徴
- 特定の勘定科目に関する詳細な情報を記録する。
- 必要な情報を素早く見つけ出すことができる。
- 会社の実情に合わせて、必要な補助簿を選択して作成する。
- 補助簿への記入は任意です。
補助簿の種類と記入例
補助簿には、様々な種類があります。今回は、以下の7つの補助簿について説明します。
- 現金出納帳:現金勘定の増減を記録する帳簿です。
- 当座預金出納帳:当座預金勘定の増減を記録する帳簿です。
- 小口現金出納帳:小口現金勘定の増減を記録する帳簿です。
- 受取手形記入帳:受取手形勘定の増減を記録する帳簿です。
- 支払手形記入帳:支払手形勘定の増減を記録する帳簿です。
- 売上帳:売上勘定の増減を記録する帳簿です。
- 仕入帳:仕入勘定の増減を記録する帳簿です。
現金出納帳
現金出納帳は、現金の入出金と残高を管理するための帳簿です。
つむぎ「現金出納帳って、お財布の中身を記録するノートみたいなものかな? 毎日いくら使ったか、いくら残ってるかを把握できるってことだよね。」
めたん先生「そのイメージで大体合っています、つむぎさん。現金出納帳があれば、現金の動きを詳細に把握できるので、不正防止や現金管理にも役立ちます。」
現金出納帳の記入例
例えば、4月1日に現金の月初残高が500円あり、4月5日に商品を300円で販売して現金を受け取り、4月6日に買掛金80円を現金で支払った場合の現金出納帳は、以下のようになります。
仕訳
4/5(借)現金 300 (貸)売上 300
4/6(借)買掛金 80 (貸)現金 80
現金出納帳 | |||||
XX年 | 摘要 | 収入 | 支出 | 残高 | |
4 | 1 | 前月繰越 | 500 | 500 | |
5 | 商品の売上 | 300 | 800 | ||
6 | 買掛金の支払い | 80 | 720 | ||
30 | 次月繰越 | 720 | |||
800 | 800 |
- 収入欄には、現金の増加を記入します。
- 支出欄には、現金の減少を記入します。
- 残高欄には、その時点における残高を記入します。
- 月初残高は前月繰越として収入欄に、月末残高は次月繰越として支出欄に記入します。
- 収入欄と支出欄の合計額が一致することを確認することで、記入ミスを防ぐことができます。
現金出納帳があれば、現金の残高がいつでも分かるから安心なのだ! ボクも、ずんだ餅を買うためのお金をちゃんと管理するのだ!
当座預金出納帳
当座預金出納帳は、当座預金の入出金と残高を管理するための帳簿です。
当座預金出納帳って、現金出納帳と似てるのかな? 当座預金も、現金と同じように使うことができるんだよね?
当座預金出納帳も、現金出納帳と同様に、入出金と残高を管理するための帳簿です。ただし、当座預金は小切手や手形を使った取引が多いので、現金出納帳とは少し異なる項目があります。
当座預金出納帳の記入例
例えば、4月1日に当座預金の月初残高が500円あり、4月2日に買掛金150円を当座預金から支払い、4月4日に売掛金300円を回収して当座預金に入金した場合の当座預金出納帳は、以下のようになります。
仕訳
4/2(借)買掛金 150 (貸)当座預金 150
4/4(借)当座預金 300 (貸)売掛金 300
当座預金出納帳 | |||||||
XX年 | 摘要 | 小切手 番号 | 預入 | 引出 | 借/貸 | 残高 | |
4 | 1 | 前月繰越 | 300 | 借 | 500 | ||
2 | 買掛金の支払い | 201 | 150 | 借 | 350 | ||
4 | 売掛金の回収 | 500 | 借 | 650 |
- 小切手番号欄には、振り出した小切手の番号を記入します。
- 預入欄には、当座預金の増加を記入します。
- 引出欄には、当座預金の減少を記入します。
- 残高欄には、その時点における残高を記入します。
- 借方/貸方欄には、借方残高か貸方残高かを記入します。(当座借越の場合は、貸となります)
当座預金出納帳も、現金出納帳と同じように、お金の流れが分かりやすくて良いのだ! ボクも、ずんだ餅屋さんの当座預金をしっかり管理するのだ!
小口現金出納帳
小口現金出納帳は、小口現金の入出金と残高を管理するための帳簿です。
小口現金出納帳って、小口現金の専用ノートみたいなものかな? 小口現金って、細かい支出に使うお金だったよね。
その通りです。小口現金出納帳があれば、小口現金の使途や残高をいつでも確認できるので、不正防止や予算管理に役立ちます。
小口現金出納帳の記入例
例えば、10月22日に小口現金の補給を42,000円受け、10月23日から10月27日までの間に通信費や交通費などの支払いを合計39,500円行った場合の小口現金出納帳は、以下のようになります。
小口現金出納帳 | |||||||
受入 | XX年 | 摘要 | 支払 | 内訳 | |||
通信費 | 交通費 | 消耗品費 | |||||
8,000 | 10 | 22 | 前週繰越 | ||||
42,000 | 本日補給 | ||||||
電話料金 | 24,000 | 24,000 | |||||
23 | 電車賃 | 1,800 | 1,800 | ||||
24 | コピー用紙 | 5,000 | 5,000 | ||||
27 | タクシー代 | 8,700 | 8,700 | ||||
合計 | 39,500 | 24,000 | 10,500 | 5,000 | |||
28 | 次週繰越 | 10,500 | |||||
50,000 | 50,000 | ||||||
10,500 | 10 | 29 | 前週繰越 | ||||
39,500 | 本日補給 |
- 摘要欄の合計(39,500円)が小口現金の支払額合計になり、経理部はこの金額を仕訳帳に仕訳する。
- 縦と横の合計が一致することを確認することで記入ミスを防ぐことができる。
- 支払欄の次週繰越10,500は、受入欄合計50,000と支払額合計39,500の差額となる。
上記は経理部への報告が10/28、小口現金の補給が10/29に行われた場合の小口現金出納帳です。小口現金への補給は、経理部への報告と同時(10/28)に行われることもあります。この場合、補給後の金額が次週繰越となります(下記の小口現金出納帳参照)。
小口現金出納帳 | |||||||
受入 | XX年 | 摘要 | 支払 | 内訳 | |||
通信費 | 交通費 | 消耗品費 | |||||
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
合計 | 39,500 | 24,000 | 10,500 | 5,000 | |||
39,500 | 28 | 本日補給 | |||||
次週繰越 | 50,000 | ||||||
89,500 | |||||||
50,000 | 10 | 29 | 前週繰越 |
小口現金出納帳は、現金の動きが細かく記録されているから、何に使ったか分かりやすいのだ! でも、こんなに細かく記録するのは大変そうなのだ…。
確かに、小口現金出納帳への記入は少し手間がかかりますが、その分、現金の管理がしやすくなります。それに、最近は、会計ソフトを使えば自動で記録してくれるので、それほど負担にはならないんですよ
なるほどね。小口現金出納帳は、細かい支出を管理するための便利なツールなんだね。例えるなら、レシートをまとめて保管しておくファイルみたいな感じかな。後で何を買ったかを確認したい時に役立つよね。
仕訳帳への転記
小口現金出納帳への記入が完了したら、仕訳帳に転記します。転記するのは、小口現金出納帳の支払合計額です。
上記の小口現金出納帳の例では、支払合計額は39,500円です。これを仕訳帳に転記します。
仕訳例は以下の通りです。
(借方) 通信費 24,000 (貸方) 小口現金 39,500
(借方) 交通費 10,500
(借方) 消耗品費 5,000
小口現金出納帳から仕訳帳への転記は、合計金額だけを転記するんだね。これは、小口現金の細かい支出を一つずつ仕訳帳に書くのは大変だから、まとめて処理するってことかな?
その通り。効率的に帳簿付けを行うための工夫ですね。
受取手形記入帳
受取手形記入帳は、「受取手形」勘定の増減明細を記録するための補助簿です。
つむぎ「受取手形記入帳って、どんな時に使うのかな? 手形を受け取ったら、主要簿に記入すれば十分なんじゃない?」
めたん先生「受取手形記入帳は、受け取った手形を一覧で管理したい時に役立ちます。例えば、手形の期日や金額、相手先などをまとめて確認できるので、支払期日の管理や、未回収の債権の把握などに便利です。」
記入例
例えば、
- 2月3日に、売掛金80,000円が期日になったので、得意先A商店から約束手形を受け取った。
- 2月10日に、売上90,000円が発生し、得意先B商店から約束手形を受け取った。
- 3月3日に、満期日を迎えた得意先A商店の約束手形を銀行で換金し、当座預金に入金した。
という取引があった場合、受取手形記入帳は以下のようになります。
仕訳
2/3 (借)受取手形 80,000 (貸)売掛金 80,000
2/10 (借)受取手形 90,000 (貸)売上 90,000
3/3 (借)当座預金 80,000 (貸)受取手形 80,000
XX年 | 手形 種類 | 手形 番号 | 摘要 | 支払人 | 振出人 または 裏書人 | 振出日 | 満期日 | 支払 場所 | 手形金額 | 顛末 | |||||
2 | 3 | 約手 | 7 | 売掛金 | A商店 | A商店 | 2 | 3 | 3 | 3 | X銀行 | 80,000 | 3 | 3 | 当座入金 |
2 | 10 | 約手 | 12 | 売上 | B商店 | B商店 | 2 | 10 | 4 | 10 | X銀行 | 90,000 |
- 手形種類欄の約手は、約束手形を意味しています。
- 摘要欄には、「受取手形」勘定が増加した際の相手勘定を記入する。
- 顛末欄には、「受取手形」勘定が減少した際の取引を記入する。
受取手形記入帳は、手形をもらった時の記録を残しておく帳簿なのだ。まるで、宝物リストみたいなのだ!
支払手形記入帳
支払手形記入帳は、「支払手形」勘定の増減明細を記録するための補助簿です。
支払手形記入帳は、受取手形記入帳と反対の役割をするんだよね。支払手形を振り出した時の情報を記録しておく帳簿ってことかな。
支払手形記入帳も、受取手形記入帳と同様に、手形の一覧管理に役立ちます。支払期日の管理や、未払いの債務の把握などに活用できます。
記入例
例えば、
- 5月5日に、仕入36,000円が発生し、仕入先C商店に対して約束手形を振り出した。
- 8月5日に、満期日を迎えた約束手形を当座預金から支払った。
という取引があった場合、支払手形記入帳は以下のようになります。
仕訳
5/5(借)仕入 36,000 (貸)支払手形 36,000
8/5(借)支払手形 36,000 (貸)当座預金 36,000
支払手形記入帳 | |||||||||||||||
XX年 | 手形 種類 | 手形 番号 | 摘要 | 受取人 | 振出人 | 振出日 | 満期日 | 支払 場所 | 手形金額 | 顛末 | |||||
5 | 5 | 約手 | 20 | 仕入 | C商店 | 当社 | 5 | 5 | 8 | 5 | Y銀行 | 36,000 | 8 | 5 | 当座決済 |
売上帳
売上帳は、「売上」勘定の増減明細を記録するための補助簿です。
売上帳は、売上に関する情報を記録する帳簿なのだ? どんなことが分かるのだ?
売上帳を見れば、いつ、誰に、何を、いくらで販売したのかといった詳細情報が一目で分かります。また、売上高や売上戻り高、純売上高なども計算できます。
記入例
例えば、
- 6月8日に、ずんだ商店にA商品100個(@200円)とB商品200個(@300円)を掛けで販売した。
- 6月19日に、つむぎ商店にA商品50個(@200円)を現金で販売した。
- 6月23日に、ずんだ商店に販売した商品乙のうち、5個(@300円)が返品された。
という取引があった場合、売上帳は以下のようになります。
仕訳
6/8 (借)売掛金 80,000 (貸)売上 80,000
6/19 (借)現金 10,000 (貸)売上 10,000
6/23 (借)売上 1,500 (貸)売掛金 1,500
売上帳 | ||||
XX年 | 摘要 | 内訳 | 金額 | |
6 | 8 | ずんだ商店 掛け | ||
A商品 100個 @200円 | 20,000 | |||
B商品 200個 @300円 | 60,000 | 80,000 | ||
6 | 19 | つむぎ商店 現金 | ||
A商品 50個 @200円 | 10,000 | |||
23 | ずんだ商店 掛け返品 | |||
B商品 5個 @300円 | △1,500 | |||
30 | 総売上高 | 90,000 | ||
〃 | 売上戻り高 | △1,500 | ||
〃 | 純売上高 | 88,500 |
売上帳は、まるでお店のレジみたいなものだね。誰が何をいくらで買ったのか、全部記録されているんだね。
その通りです、つむぎさん。売上帳を見れば、売上に関する詳細情報が一目で分かります。月末には、総売上高から売上戻り高を差し引いて、純売上高を計算します。純売上高は、実際に得られた売上を表す重要な指標ですね。
仕入帳
仕入帳は、「仕入」勘定の増減明細を記録するための補助簿です。
仕入帳は、仕入に関する情報を記録する帳簿なのだ? どんなことが分かるのだ?
仕入帳は、いつ、誰から、何を、いくらで仕入れたのかといった詳細情報が分かります。また、総仕入高や仕入戻し高、純仕入高なども計算できます。仕入帳は、在庫管理や仕入先との取引状況の把握に役立ちます。
記入例
例えば、
- 4月5日に、ずんだ商事からC商品50個(@100円)を掛けで仕入れ、引取費用200円を現金で支払った。
- 4月6日に、すんだ商事に仕入れたC商品のうち、1個(@100円)が返品された。
という取引があった場合、仕入帳は以下のようになります。
仕入帳 | ||||
XX年 | 摘要 | 内訳 | 金額 | |
4 | 5 | ずんだ商店 掛け | ||
C商品 50個 @100円 | 5,000 | |||
引き取り費用現金払い | 200 | 5,200 | ||
6 | ずんだ商店 掛け返品 | |||
C商品 1個 @100円 | △100 | |||
30 | 総仕入高 | 5,200 | ||
〃 | 仕入戻し高 | △100 | ||
〃 | 純仕入高 | 5,100 |
- 摘要欄には、仕入先、対価、購入した商品などを記入する。
- 月末になったら、総仕入高から仕入戻し高を控除し、純仕入高を算定する。
仕入帳も、売上帳と同じように、取引の詳細が分かりやすく記録されているね。これなら、仕入れすぎた商品や、問題のある仕入先をすぐに特定できるね。
まとめ
今回は、補助簿について学びました。
- 補助簿は、特定の勘定科目に関する詳細な情報を記録するための帳簿です。
- 代表的な補助簿には、現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳、売上帳、仕入帳などがあります。
- 補助簿は、主要簿を補完し、必要な情報を効率的に管理するために活用されます。
補助簿を活用することで、帳簿付けの効率化と正確性の向上が期待できます。積極的に補助簿を活用し、簿記のスキルをさらに磨いていきましょう。
補助簿、色々な種類があって、それぞれに役割があるのだね。ボクも、ずんだ餅屋さんのために、売上帳や仕入帳を作って、細かく記録したいのだ!
素晴らしい意気込みですね! 補助簿は、簿記の記録を整理整頓するための心強い味方です。帳簿付けを効率化し、会社の経営をサポートしてくれるでしょう。… 例えば、補助簿は、まるで収納上手なクローゼット。必要なものを種類ごとに整理整頓(勘定科目ごとに記録)することで、必要な時にすぐに見つけることができます。これで、もう探し物に手間取ることはありませんね!
んん・・・?w
んん・・・?w
… とにかく、補助簿は、情報を整理するための便利なツールです! それでは、今日はこの辺で終わりにしましょう。次回も一緒に簿記の冒険を続けましょう!
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