皆さん、こんにちは!簿記の世界へようこそ! めたん先生です。
前回までで、簿記の全体像と、帳簿に記録する基本的な流れを学びましたね。
今回は、いよいよ具体的な取引を見ていきましょう。簿記の世界では、様々な取引がありますが、まずは現金の増減を伴う基本的な取引からスタートします。
この講義では、以下の6つの取引について説明します。
- 会社の設立(出資):会社を設立する際に、株主からお金を受け取る取引です。
- 資金の借り入れ:銀行からお金を借り入れる取引です。
- 資金の貸し付け:会社が他社にお金を貸し付ける取引です。
- 固定資産の取得:建物や車など、長期間使用する資産を購入する取引です。
- 給料や諸経費の支払い:従業員に給料を支払ったり、電気代などの経費を支払ったりする取引です。
- 商品売買(現金取引):商品を現金で仕入れたり、販売したりする取引です。
これらの取引を通じて、簿記の基本をしっかりと身につけましょう!
会社の設立 (出資)
会社を設立するってことは、新しい会社を作るってことだよね。で、その時に株主からお金をもらうのが出資ってことなのかな?
その通りです、つむぎさん。会社を設立するためには、初期費用が必要になりますよね。そのお金を株主から調達するのが出資です。株主は、会社にお金を出してくれた代わりに、株式を受け取ります。株式は、いわば会社のオーナー証明書のようなものです。
なるほどなのだ。ボクも株式会社を設立して、ずんだ餅を世界中に広めたいのだ!でも、株主って何なのだ? 株式って何なのだ?
株主とは、会社にお金を出してくれた人のことです。株式とは、その人が株主であることを証明する証券のことです。株式については、また後の章で詳しく説明しますので、今は『株主からお金をもらう代わりに株式を渡す』ということだけ覚えておけば大丈夫です。
会計処理
- 株主から現金の出資を受けた場合、現金が増えます。現金は資産なので、借方に記入します。
- このお金は、株主からの出資なので、返済する必要はありません。このようなお金を資本といい、貸方に記入します。
- 資本を表す勘定科目は資本金です。
仕訳例
会社設立に際して、現金100円の出資を受け、株式を発行した。
(借) 現金 100 (貸) 資本金 100
資金の借り入れ
資金の借り入れって、銀行からお金を借りるってことなのだ? 返済しないといけないのだ?
その通りです、ずんだもんさん。資金の借り入れとは、銀行からお金を借りることです。そして、借りたお金は当然ですが、返済しなければなりません。返済する義務があるお金のことを負債といいます。
そういえば、この前テレビで『負債を抱える』って表現を聞いたよ。あれも、お金を借りてて返さないといけない状況ってことだよね?
その通りです、つむぎさん。簿記の知識は、ニュースや新聞を理解するのにも役立ちますよ。
会計処理
借入時
- 銀行からお金を借り入れた場合、現金が増えます。現金は資産なので、借方に記入します。
- 同時に、借り入れによって返済義務が生じます。返済義務は負債なので、貸方に記入します。
- 負債を表す勘定科目は借入金です。
返済時
- 借り入れたお金を返済すると、現金が減ります。現金は資産なので、貸方に記入します。
- 同時に、返済によって返済義務が減ります。返済義務は負債なので、借方に記入します。
仕訳例
借入時
銀行から現金100円を借り入れた。
(借) 現金 100 (貸) 借入金 100
返済時
借り入れた100円のうち、60円を現金で返済した。
(借) 借入金 60 (貸) 現金 60
資金の貸し付け
資金の貸し付けって、会社がお金を貸すってことだよね。貸したお金は返ってくるんだよね?
その通りです、つむぎさん。資金の貸し付けとは、会社が他社にお金を貸すことです。そして、貸したお金は、もちろん返ってきます。返ってくるお金のことを債権といいます。
債権? 難しい言葉が出てきたのだ…。ボクにはちょっと難しすぎるのだ…。
債権という言葉は難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと『将来お金を受け取る権利』のことです。例えば、友達に100円貸したら、あなたは友達から100円を受け取る権利がありますよね。それが債権です。
会計処理
貸付時
- お金を貸し付けると、現金が減ります。現金は資産なので、貸方に記入します。
- 同時に、貸し付けによってお金を返してもらう権利(債権)が生じます。債権も資産なので、借方に記入します。
- 資産を表す勘定科目は貸付金です。
回収時
- 貸したお金を回収すると、現金が増えます。現金は資産なので、借方に記入します。
- 同時に、回収によってお金を返してもらう権利(債権)がなくなります。債権は資産なので、貸方に記入します。
仕訳例
貸付時
取引先へ現金100円を貸し付けた。
(借) 貸付金 100 (貸) 現金 100
回収時
貸し付けた100円のうち、60円を現金で回収した。
(借) 現金 60 (貸) 貸付金 60
固定資産の取得
固定資産の取得って、何かを買うってことなのだ? 何を買うのだ?
ずんだもんさん、良いところに気が付きましたね。固定資産の取得とは、会社が使うためにモノを買うことです。ここでいうモノとは、建物や車、土地、パソコンや机など、1年以上使う予定のものです。
あーし、この前新しいスマホ買ったんだけど、あれも固定資産になるのかな?
うーん、それはどうでしょう。スマホは1年以上使うかもしれませんが、一般的には固定資産とは言いません。固定資産は、会社が事業を行うために必要なモノのことを指すので、個人のスマホは当てはまらないですね。
会計処理
- 固定資産を取得するためにお金を支払うと、現金が減ります。現金は資産なので、貸方に記入します。
- 同時に、購入した固定資産が増えます。固定資産も資産なので、借方に記入します。
- 固定資産を表す勘定科目は、購入した資産の種類によって異なります。例えば、建物であれば建物、車であれば車両、土地であれば土地、パソコンや机であれば備品勘定を使います。
仕訳例
現金100円を支払い、建物を取得した。
(借) 建物 100 (貸) 現金 100
給料や諸経費の支払い
給料や諸経費の支払いって、従業員さんにお給料を払ったり、電気代とかを払ったりするってことなのだ? 会社からお金が出ていくのだ?
その通りです、ずんだもんさん。会社はお金を稼ぐだけでなく、色々なものにお金を使います。従業員に支払う給料、電気代や水道代などの光熱費、出張費用や交通費なども、すべてお金が出ていく取引ですね。
会社って、色々とお金がかかるんだね。でも、お金を払うのは、会社を運営していくために必要なことだよね。
その通りです、つむぎさん。これらの費用は、会社が利益を上げるために必要なものです。例えば、従業員がいなければ商品は作れませんし、電気やガスがなければ事務所で仕事をすることもできません。これらの費用は、いわば『将来の利益を生み出すための種まき』と言えるでしょう。
会計処理
- 現金で給料などを支払った場合、手元の現金は減少し、その分、資本(利益)が減少します。
- よって、「現金」勘定(資産)の減少および「給料」勘定などの費用の発生として処理します。
- 発生させる費用の勘定科目はその種類に応じて、「給料」勘定、「水道光熱費」勘定、「旅費交通費」勘定など(すべて費用)で処理します。
仕訳例
従業員へ給料100円を現金で支払った。
(借) 給料 100 (貸) 現金 100
商品売買(現金取引)
商品売買の現金取引って、商品を現金で売ったり買ったりするってことなのだ?
その通りです、ずんだもんさん。ここで学ぶのは、商品を現金で仕入れたり、販売したりする取引です。そして、仕入れ値と販売価格の差額が、商品売買の利益になります。
なるほどね。仕入れ値が安くて、販売価格が高ければ、たくさん儲かるってことだよね。でも、仕訳はどうやって書くのかな?
会計処理
商品の仕入
- 現金で商品を仕入れた場合、現金が減ります。現金は資産なので、貸方に記入します。
- 同時に、仕入れた商品の金額は、費用として処理します。費用は資本を減らす原因となります。資本は貸方の勘定科目なので、費用は借方に記入します。
- 費用の勘定科目は仕入です。
商品の売上
- 商品を販売して現金を受け取った場合、現金が増えます。現金は資産なので、借方に記入します。
- 同時に、販売した商品の金額は、収益として処理します。収益は資本を増やす原因となります。資本は貸方の勘定科目なので、収益も貸方に記入します。
- 収益の勘定科目は売上です。
仕訳例
商品の仕入
現金300円で商品を仕入れた。
(借) 仕入 300 (貸) 現金 300
商品の売上
仕入れた商品を500円で売り上げ、現金を受け取った。
(借) 現金 500 (貸) 売上 500
まとめ
今回は、現金が増減する基本的な取引について学びました。
- 会社の設立(出資):株主から現金を受け取り、株式を発行する取引です。
- 資金の借り入れ:銀行から現金を借り入れる取引です。
- 資金の貸し付け:会社が他社に現金を貸し付ける取引です。
- 固定資産の取得:建物や車など、長期間使用する資産を現金で購入する取引です。
- 給料や諸経費の支払い:従業員に給料を支払ったり、電気代などの経費を支払ったりする取引です。
- 商品売買(現金取引):商品を現金で仕入れたり、販売したりする取引です。
それぞれの取引に応じて、適切な勘定科目を使い、借方と貸方に分けて仕訳をすることが重要です。
現金取引の仕訳、バッチリ理解できたよ! 借方と貸方の考え方も、だいぶ慣れてきた気がする。でも、実際のビジネスでは、現金以外の取引もたくさんあるんだよね?
ボクも、もっと色々な取引について知りたいのだ! 早く簿記マスターになって、ずんだ餅屋さんをオープンさせるのだ!
二人とも、熱意があって素晴らしいですね! 次回は、現金取引に加えて、当座預金や小切手を使った取引についても学んでいきましょう。… 例えば、当座預金は、まるで秘密の貯金箱。現金とは別に、特別な場所にお金を入れておくことで、より安全に管理できるんです。そして、小切手は、その秘密の貯金箱からお金を引き出すための魔法の鍵のようなもの。一枚の小切手で、大きな金額の支払いも簡単にできちゃうんですよ。
秘密の貯金箱と魔法の鍵の例えは、まあ分かるけど… 先生、その貯金箱、もしかして全部ずんだ餅でできてる系?
それは美味しそうな貯金箱なのだ! ボクも、そんな貯金箱が欲しいのだ!
… えっと、そうですね、貯金箱は金属やプラスチックでできているのが一般的ですが、美味しそうな貯金箱も夢があって良いですね! それでは、今日はこの辺で終わりにしましょう。次回も一緒に簿記の冒険を続けましょう!
学んだ内容を要約してみましょう
また、記憶を定着させるために、学習内容をご自身の言葉で要約しTwitter等に投稿してみましょう。
Twitterで投稿するには約90文字に要約する必要があり、重要論点のアウトプットを行うことでより記憶に残りやすくなります。
要約ついでにこのサイトも紹介してくれると嬉しいな!
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